油圧ポンプの圧力低下を防ぐ!原因と効果的な対処法、そしてメンテナンスの重要性
産業機械、建設重機、農業機械、フォークリフトなど、私たちの暮らしを支える様々な現場で、大きな力を生み出すのに不可欠なのが油圧ポンプです。しかし、この油圧ポンプも、トラブルによって圧力が低下してしまうことがあります。圧力が低下すると、最悪の場合、機械が動かなくなり、事業に大きな損失をもたらす可能性もあります。
今回のコラムでは、油圧ポンプの圧力低下の原因と、その具体的な対処法、そして日頃からできる予防策としてのメンテナンスの重要性について詳しく解説します。
油圧ポンプとは?なぜ大きな力を生み出せるのか
油圧ポンプとは、油の圧力を利用してエネルギーを生み出す装置です。油に圧力をかけ、吸入した油を吐出することで、大きな力を生み出すことができます。
水や空気を使ったポンプと比較して油圧ポンプが広く採用されているのは、油が持つ以下の特性が理由です。
・高い粘性で漏れにくい: 圧力をかけても漏れにくいため、効率的に力を伝達できます。
・沸騰しない: 高温になっても沸騰しにくいため、安定した動作を維持できます。
・高い耐摩耗性: 摩擦による部品の摩耗を抑え、長寿命化に貢献します。
これらの特性により、油圧ポンプは高い圧力をかけることができ、大きな力を必要とする場面でその真価を発揮します。
油圧ポンプは、油圧シリンダーや油圧モーター、油圧バルブなどと組み合わせて使われます。それぞれの機器の役割と、修理・メンテナンスのポイントは、「油圧機器の種類と修理・メンテナンスのポイント!」で詳しく解説しています。
油圧ポンプの圧力低下とは?その深刻な影響
油圧ポンプの最大のメリットは「高い圧力をかけられること」ですが、何らかのトラブルによってその圧力が低下してしまうことがあります。
圧力が低下すると、油圧ポンプが本来の性能を発揮できなくなり、以下のような問題が発生します。
・動力の低下: 機械の動きが鈍くなったり、力が弱くなったりします。
・動作不良: 部品が正常に作動しなくなり、作業効率が低下します。
・稼働停止: 最悪の場合、動力が完全に失われ、機械が全く動かなくなってしまうこともあります。
なお、圧力の低下は、異音や油温の上昇、油漏れと並んで、油圧機器が出す故障のサインの一つです。ほかにどのような変化に気をつければよいかは、「油圧機器の故障の予兆! 定期的な点検・メンテナンスで対策!」で詳しくご紹介しています。
油圧ポンプの圧力低下、その主な原因は?
油圧ポンプの圧力が低下する主な原因は、吐出量の不良です。吐出量の不良は、具体的に以下の要因によって引き起こされます。
部品の摩耗
ポンプ内部のギヤ、ローター、オイルシール、パッキンなどが摩耗すると、油の漏れが生じ、圧力が維持できなくなります。摩耗は経年劣化によるものが多いですが、後述する異物混入や油の温度上昇なども摩耗を促進する要因となります。
異物混入
油圧システム内に異物(スラッジ、金属粉など)が混入すると、ポンプの部品を傷つけたり、隙間に入り込んだりすることで、正常な動作を妨げ、摩耗を早めます。異物混入は、エアブリーザー(空気抜き)の劣化やオイルタンクの不適切な管理などによって発生することがあります。
油の温度上昇
油の温度が過度に上昇すると、油の粘度が低下し、ポンプ内部での漏れが増加して圧力が低下しやすくなります。また、高温は部品の劣化を早める原因にもなります。
当社でも、油温が65℃近くまで上がっていた油圧ユニットに水冷式のオイルクーラーを取り付け、36℃まで下げた事例があります。記事の後半で、写真とあわせてご紹介します。
圧力が上がらない!今すぐできる対処法
油圧ポンプの圧力が上がらない場合、その原因を特定し、適切な対処を行うことが重要です。
部品の交換・修理
単純な経年劣化による部品の摩耗であれば、該当する部品を交換または修理することで圧力が回復します。定期的な点検で早期に摩耗を発見し、交換することが重要です。
部品の交換や作動油の入れ替えをしたあとは、配管内に入り込んだ空気を抜く「エア抜き」も欠かせません。空気が残ったままだと、異音や圧力の不安定につながります。手順は「油圧ポンプのメンテナンス:エア抜きの重要性」で解説しています。
異物混入への対策
異物混入が原因である場合は、異物が混入する経路や箇所の特定と封鎖が不可欠です。例えば、エアブリーザーの交換や、オイルタンクの徹底的な清掃などが有効です。異物混入は深刻なトラブルに繋がる可能性もあるため、早急な対応が求められます。
急な圧力低下を防ぐ!定期的な点検・メンテナンスの重要性
「トラブルは突然起きる」と感じるかもしれませんが、そのほとんどは日頃の適切なメンテナンスによって未然に防ぐことができます。油圧ポンプのトラブルで機械が稼働できなくなると、修理費用だけでなく、稼働停止による大きな経済的損失が発生します。
定期的な点検とメンテナンスは、油圧ポンプを長く安定して使用するために非常に重要です。
・部品の早期発見・交換: 摩耗した部品を早期に発見し交換することで、大きなトラブルへの発展を防ぎます。
・油の清浄度管理: 定期的に油を交換し、異物混入を防ぐことで、ポンプの寿命を延ばします。
・油の温度管理: 適切な冷却システムが機能しているか確認し、油の過度な温度上昇を防ぎます。
適切なメンテナンスと管理を行うことで、油圧ポンプは一般的な耐用年数よりも長く、高性能を維持して使用することが可能です。
日常点検・定期点検・オーバーホールで、それぞれ何を確認すればよいかは「油圧機器の具体的な定期的な点検・メンテナンス」で詳しくまとめています。また、ポンプを何年くらい使えるのかの目安は「ポンプの耐用年数はどのくらい?ポンプのメンテナンスの重要性もご紹介!」でご紹介しています。
当社の油圧機器の施工事例
油圧ユニット改造工事(製造業)

シャーリング機械の油圧ユニットを更新したところ、油温が65℃近くまで上がり、作動油の劣化が心配される状態になっていました。そこで水冷式のオイルクーラーを導入し、当社は水冷配管用の穴開けと、油圧ホース・バイパスブロックの設置を担当しました。施工後は油温が36℃まで下がり、安定して稼働しています。この記事でお伝えした「油の温度上昇」への対策の実例です。
工期:3日/延人数:5人
>>油圧ユニット改造工事の施工事例を詳しく見る
オイルマチック洗浄(製造業)

作動油の温度を一定に保つ冷却装置(オイルマチック)が温度異常で止まり、生産ラインが停止するトラブルが続いていました。当社で点検を行い、熱交換器のフィンを洗浄して熱交換の効率を回復させたところ、停止は起きなくなり、電気代の削減にもつながりました。冷却装置の汚れは、油温が上がる原因として見落とされやすいポイントです。
工期:1日/延人数:2名
>>オイルマチック洗浄の施工事例を詳しく見る
関連するサービス・コラム
油圧ポンプの圧力低下や油漏れ、油温の上昇でお困りの際は、当社のサービスをご利用ください。
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油漏れやホースの劣化、フィルターの詰まりの点検から、部品交換・修理、オイル交換まで対応しています。
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故障の原因調査から修理・メンテナンスまで、ポンプのメーカーを問わず対応しています。古いポンプの電気代が気になる場合もご相談ください。
この記事では圧力低下に絞ってお話ししましたが、「油圧ポンプの代表的なトラブルとその対策」では、油漏れ・異音・振動・油温上昇を含む4つのトラブルについて、原因と症状を一覧で整理しています。
また、作動油やフィルターの選び方・交換、温度管理など、油圧機器を長く使うためのポイントは「油圧機器の長寿命化のポイント! 定期的な点検・メンテナンスの重要性!」でまとめています。
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