お役立ち情報

油圧機器の種類と修理・メンテナンスのポイント!

産業の現場で当たり前のように活躍している油圧機器。建設機械の力強いアームや、工場で精密な動きをする機械など、私たちの身の回りには油圧技術が駆使された装置が数多く存在します。しかし、その重要性とは裏腹に、「油圧ってなんだか難しそう…」「故障したらどうすればいいの?」といった不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。

 

この記事では、油圧機器の基本的な仕組みから、その種類、そして安定稼働に不可欠な修理・メンテナンスのポイントまでをわかりやすく解説します。この記事を読めば、油圧機器への理解が深まり、機械のトラブルを未然に防ぎ、寿命を延ばすためのヒントが見つかるはずです。あなたの機械がいつまでも最高のパフォーマンスを発揮できるよう、ぜひ最後までお読みください。

 

油圧機器とは?

油圧機器とは、作動油という液体に圧力をかけ、その力を利用して動力の伝達や変換を行う装置の総称です。電気や空気圧(空圧)とは異なり、液体である作動油は非圧縮性という特性を持つため、小さな力で非常に大きな力を生み出すことが可能です。この原理は「パスカルの原理」として知られており、油圧機器の根幹をなすものです。

油圧機器は、その強力なパワーと精密な制御性、そして比較的静かに動作する特性から、様々な産業分野で利用されています。例えば、重いものを持ち上げたり、繊細な動きをコントロールしたりする際にその真価を発揮します。

主要な油圧機器は、主に以下の要素で構成されています。

 

油圧ポンプ:作動油を吸い込み、圧力を発生させる心臓部。
・油圧シリンダー:油圧の力を直線運動に変換する装置。
・油圧モーター:油圧の力を回転運動に変換する装置。
・油圧バルブ:作動油の流れや圧力を制御する弁。
・作動油:動力を伝える媒体となる油。
・油圧ユニット:ポンプやモーター、バルブなどが一体となった装置。

 

これらの要素が連携することで、油圧機器は複雑かつパワフルな動作を実現します。

油圧機器の種類

油圧機器は、その役割や機能によって多種多様な種類が存在します。ここでは、主要な油圧機器とその役割、具体的な用途について解説します。

油圧ポンプ

油圧システムの心臓部であり、作動油に圧力を与え、油を送り出す役割を担います。

油圧シリンダー

油圧の力を直線的な動き(押し引き)に変換する装置です。

油圧モーター

油圧の力を回転運動に変換する装置です。

油圧バルブ

作動油の流れや圧力を制御し、油圧システムの動作をコントロールする弁です。

油圧ホース・配管

油圧機器間で作動油を運ぶ通路となります。高圧に耐える構造が求められます。

油圧機器の修理・メンテナンスのポイント

油圧機器は非常に頑丈な構造をしていますが、その性能を最大限に引き出し、長寿命を保つためには、適切な修理と定期的なメンテナンスが不可欠です。ここでは、特に重要なメンテナンスのポイントを解説します。

定期的な作動油の交換と管理

作動油は油圧システムの「血液」です。劣化や汚染は、システムの効率低下や故障に直結します。

 

・作動油の劣化チェック: 作動油の色が黒ずむ、異臭がする、粘度が変化するなどの兆候がないか定期的に確認しましょう。
・作動油フィルターの交換: 油中の異物を取り除くフィルターは、定期的に交換が必要です。フィルターが詰まると、油圧回路に負荷がかかり、機器の損傷につながります。
・適切な作動油の選定: 機械のメーカー指定の作動油を使用し、粘度や性能が合っているか確認しましょう。

 

油漏れの早期発見と対策

油漏れは、作動油の損失だけでなく、圧力低下による効率の悪化、周辺環境の汚染、さらには火災のリスクを高めます。

 

・目視点検: ホース、配管の接続部、シリンダーのロッド部分、バルブの継ぎ手など、常に油漏れがないか目視で確認しましょう。
・パッキン・シールの劣化確認: 油圧機器のシール材は経年劣化します。ひび割れや硬化が見られる場合は、早めに交換が必要です。
・異常な油量減少に注意: 油圧ユニットの作動油タンクの油量が異常に減っている場合は、目に見えない場所で油漏れが発生している可能性があります。

 

異音・振動のチェック

油圧機器から普段と異なる音や振動がする場合、何らかの異常が発生しているサインです。

 

・ポンプの異音: 「キーキー」といった高音は内部の摩耗や潤滑不足、「ゴロゴロ」といった音はベアリングの劣化が考えられます。
キャビテーション: ポンプが作動油をうまく吸い込めない場合に発生する「カチカチ」という音や振動は、エアの混入や吸込側の抵抗増大が原因です。
・振動の発生: 油圧モーターやポンプからの異常な振動は、芯ズレや内部部品の損傷を示唆している可能性があります。

 

圧力設定の確認と調整

油圧機器は適切な圧力で動作するように設計されています。圧力が適正でないと、機器の破損や性能低下につながります。

 

・圧力計の定期チェック: 油圧ユニットや主要な回路に取り付けられた圧力計を定期的に確認し、メーカー指定の圧力範囲内で動作しているか確認しましょう。
・リリーフバルブの機能確認: 過圧を逃がすリリーフバルブが正常に機能しているか、定期的に作動チェックを行うことも重要です。

 

清掃と点検

日常的な清掃と点検は、異常の早期発見に繋がります。

 

・外部の清掃: 油圧機器の表面に付着した汚れや埃は、放熱を妨げたり、油漏れを見逃す原因になったりします。
・ホース・配管の損傷確認: ホースのねじれ、折れ、亀裂、配管の凹みや腐食がないか確認しましょう。
・ボルトの緩みチェック: 振動などにより、固定ボルトが緩むことがあります。定期的に増し締めを行いましょう。

 

油圧機器の修繕・メンテナンスは、当社にお任せください!

工場省エネセンター愛知.comは、株式会社エス・エヌ・ジーが運営し、愛知近郊の製造現場の生産技術・保全担当者様に向け、最新の省エネ情報発信をする専門サイトです。脱炭素・省エネという面からものづくり企業のコスト削減・省力化・生産性向上をサポートいたします。お気軽にご相談ください。